キレーション治療とは 

ギリシャ語の「カニの爪」がキレーションの語源です。血管壁に蓄積したカルシウム、組織中の水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなどの重金属をカニの爪でつかみ取るようにキレート剤が除去します。(除去された物質は尿中へ排泄されます)。

当院のキレート剤である2NaEDTAは、汎用キレート剤であるCaEDTAにはない効果、すなわち石灰沈着を伴う動脈硬化病変の改善に有効です。1950年代に治まったこの治療法は、世界各国の医師たちにより選択される優れた治療法です。

詳細は こちら→日本キレーション協会   
 
  治療方法と対象疾患および注意点 
 
<キレーション点滴の方法>
 
生理食塩液または5%ブドウ糖液に2NaEDTA、ビタミン剤等を入れ末梢点滴します。
使用する2NaEDTAの量により、ハーフキレーションで約90分(NaEDTA量1.5g)、フルキレーションで約180分(NaEDTA量3.0g)かけてゆっくり点滴します。
原則、週1〜2回で計20回~40回行い、その後維持治療を月1~2回で行います。
 
<キレーション点滴の対象疾患>
 
1)動脈硬化性疾患
 狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性
 動脈硬化症、加齢による視力低下、糖尿病性血管障害など
 2)有害重金属蓄積
 有害重金属の蓄積は神経障害など様々な疾患を引き起こ
 します。
 
<キレーション点滴の注意点>
 
1.腎毒性
 潜在的にEDTAには腎毒性がありますが、事前の腎機能検査により
 適応でない方には治療を行いません。またEDTA投与量、点滴投与
 速度の調節により腎毒性を回避します。
2.静脈血栓症(点滴部位の痛みや腫れなど)
 点滴全般に言えることで、点滴刺入部の局所的な痛みを感じるこ
 とがます。この痛みに対しては温湿布や温めたタオルなどを  
 あてて経過をみます。
3.うっ血性心不全(体重増加やむくみ、息切れなど)
 うっ血性心不全を合併している場合、点滴速度を遅くしたり、
 生理食塩   水をブドウ糖液へ変更するなどの対応します。
4.不整脈(動悸など)
 点滴開始時に不整脈を認めることがありますが、点滴継続により
 頻度が減少します。
5.低カルシウム血症(けいれん、震え、嘔吐など)
 EDTAは血中カルシウムと結合するため、急速に注入した場合には 
 低カルシウム血症による筋けいれんなどの症状が起こる可能性が
 あります。
6.低血糖(冷汗、疲労感、めまいなど)
 糖尿病患者さまにおいては点滴中に低血糖を起こす可能性があり
 ますが、点滴前に食事を摂り、点滴中に果物を摂るなど予防を行
 います。
7.低血圧
 キレーション治療により血圧が低下する場合があり、高血圧内服
 治療中の患者様では降圧剤減量が必要となる場合があります。
8.アレルギー(発疹、かゆみなど)
 ごく稀にEDTAを含めた薬剤によるアレルギー症状が起きる可能性
 があります。
 
 治療の流れ
  
<初診>
 
1.診察:症状や治療内容、病歴などをお伺いします。
2.同意書作成:治療に同意をいただいた場合は次のステップへ進み
 ます。
3.点滴前検査:※1
 安全確保のため行うべき検査 ①心電図、②血液・尿検査
 動脈硬化の評価 ①頸動脈エコー、②下肢脈波、③血管内皮
 機能検査
 有害重金属の評価 ①オリゴスキャン
4.点滴開始直前:体重や血圧測定・脈拍測定。
5.点滴:初回はキレート剤を含まない点滴を行いキレート剤 
 以外でのアレルギー反応の有無をチェックします。※2
6.点滴終了時、状態により血圧・脈拍測定します。
 
<2回目以降> 
 
1.診察:前回キレーションから受診時までの体調の変化などを
 お伺いします。
2.点滴直前:血圧・脈拍測定。尿検査。
3.キレート剤を含む点滴:ハーフキレーション約90分、
 フルキレーション約180
4.点滴終了後:血圧・脈拍測定。
5.サプリメント服用。※3
 
※1:ご希望により検査は省略・変更が可能。
 原則、治療開始前、点滴6回目、11回目、21回目に心電図および
 頸動脈エコー・下肢脈波図・血管内皮機能検査を行います。
※2:キレーション治療経験者など初回よりキレート剤を入れた
 点滴を行う事が可能。
※3:キレート点滴により必要なミネラル(亜鉛など)やビタミン
 (ビタミンB群など)も排出されるため、サプリメントによる補給
 が必要。  
 
 
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